トラムに乗って出かけると、ローヌ川の向こうにオテル・デューの優雅な姿が見えてきます
 石田純郎先生著「ヨーロッパ医学史散歩」には、リヨン病院博物館の開館は午後からと記されていましたが、まだ朝早かったので下見も兼ねて、とりあえず訪れてみる事にしました

 病院には博物館を示すmuséeの旗がかかっていました
 muséeの旗の向こう側にある入り口を入るとすぐに、Hotel-Dieuの外科部長で、Lyon大学の教授でもあった外科医BONNETの像がありました
 院内の廊下は往時の姿を留めていました
 院内の掲示を頼りに博物館を探すと、ありましたありました

 開館時間:月曜日13:00-17:30、火曜日から金曜日10:00-12:00, 13:00-17:30、10月-6月の第一第三日曜日13:30-17:30(祝日を除く)

 本格的な博物館で、残念ながら内部は撮影禁止でした

 博物館の内部は、アートと医学のセクションに分かれており、アートには病院で使われていた美しい家具や薬品ポットなどが置かれていましたが、他の博物館にあるものと、その美しさにおいてレベルが違う素晴らしいものでした。また、昔の写真なども沢山展示されており非常に興味深かったです

 特に、今はホテル・ソフィテルとなってしまった場所にあったシャリテ病院を記念して薬品棚やカルテ室が保存されていました。カルテ室の壁に施された精巧な飴色の木彫と天井の漆喰の白とのコントラストは息を呑むほど美しかったです

 医学のセクションには、精神病院の監禁室が1/1で再現されていて、監禁室の中には等身大の人形も置いてあり、当時の貧しい精神科医療の様子が良くわかります

 その他、昔のベビーベッドや病人を運ぶ日本で言う籠みたいな救急車、シャリテ病院にあった長槍や斧などの武具、ペスト防御衣など、多くのものが良い状態で展示してありました

 麻酔に関するものは小児用クロロホルムマスクなど数点があるだけで、残念ながらあまり充実していませんが、麻酔は近代に産まれたので、有るだけましです

 中学生らしき一団が先生に引き連れられて見学に来ていました。リヨンに限らず、フランスの病院博物館では、学生が集団見学しているのに、よく出くわします

 14時から大ホールにて、博物館の常設展示とは別に特別展があるというので、それまで町を散策する事にしました
 観光案内所

 観光大国フランスの観光案内所はどこも良い場所にあり、とても立派です

 観光案内所で観光地図をもらうと、普通の博物館に混じってHOTEL-DIEUの病院博物館が載っていました
 リヨンは公共交通網が発達しているため、とても見て回りやすい街です

 路電や地下鉄の駅に有る自販機で、市交通局の一日券が4.2EUで買えます。この券はフルヴィエールの丘に登るケーブルカーにも使えます
 ソーヌ川からフルヴィエールの丘を眺めていたら、ちょうど船が通りかかり印象的な一枚になりました、
 ノートルダム・フルヴィエール教会はその清楚な白亜の外観も素晴らしいのですが、内部も今まで見たことが無い位、非常に豪華でした
 キンキラキンであるが全く嫌味が無く、美しいの一言
 美しい市庁舎
 14時にちょっと遅れてオテル・デューの真ん中の飛び出てる所に当たる大ホールへ

 特別展はレントゲンに関するものでした。リヨン病院の初代レントゲン、放射線治療器、電気治療器などが展示されていました

 「どこに保存してあるんですか」と聞くと、ガレージがあるんですよと答えてくれ、「コレで保存してあるうちの30%位でしょうか」と言っていました。古いものを当たり前の様にしっかり保存する。文化の違いでしょうね

 特別展の協力を見ていたら、リヨンにもう一つ医学博物館があることを発見しました。聞いてみると、「医学部の中にある」との返事。リヨンを発つ電車まで1時間くらいあったので、とりあえず急いで行ってみる事にしました
 地下鉄D線に乗って医学部があると言われた地下鉄駅GRANGE BLANCHEへ

 地下鉄から地上に出ると大きな健康の女神像があり、そちらへ歩くと実は医学部と反対方向でした

  このあたりには、アンブロワーズ・パレ駅やラエンネック駅、ピネル大通りなど、医の巨人達の名前をそこかしこに見つけましたが、目指す医学部はなかなか見つけられません
 医学部を見つけられず、もうしょうがないかと思って乗った路面電車の窓越しに医学部を発見しました

 急いで戻ってリヨン大学医学部へ
 正面から構内に入って左、中ほどまで進んだ左に、掲示板を発見。そのまままっすぐ突き当りまで行くと、めぼしきものはありません。美人女子医学生に聞くと、掲示板を右手に曲がってすぐの部屋がそうだと教えてくれました
 とうとう見つけました

 受付の初老の秘書さんは仏語しか喋れませんが、カタコトのフランス語で、「日本から来た医師です」と自己紹介すると快く見せてくれました

 博物館の収蔵物は、大きく分けて、大学の業績的資料と古い器具コレクションの2パートに分かれます。規模も大きくなかなかのものでした

 しかし、この後リヨン発の列車にぎりぎりで飛び乗る事になったのは言うまでもありません