麻酔に携わる者として一度は訪れておかねばならない場所「春林軒」が、和歌山県は名手という所にあります

 和歌山駅からJR和歌山線に乗り30分
 紀ノ川沿いを各駅停車にのんびりと揺られると、名手に到着します 
 全身麻酔の始祖、華岡青洲先生の活躍した春林軒がある一帯は「青洲の里」として整備されています

 青洲の里には「春林軒」「フラワーヒルミュージアム」「華岡青洲顕彰記念公園」などがあり、すぐ隣には看護学校も移転してきました

 青洲の里まで、名手駅からは徒歩で20分タクシー6分との事ですが、青洲の里はちょっとした高台にあるため、健脚な方以外はタクシーをご利用なさった方が無難です。また、タクシーの運転手さんは青洲先生についての知識が豊かなので、お勧めです
 門をくぐり春林軒の方へ歩いて行くと、「活物究理」の碑と青洲先生の坐像が迎えてくださいます

 この像の隣には小さな薬草園があり、青洲先生が通仙散に用いた薬草を見る事ができます
 青洲先生が生活し、診療し、門人達を教えた春林軒

 門の左側の建物で入場券を購入します

 受付のお姉さんはとても親切な方で、いろいろと教えていただきました
 春林軒母屋

 内部では、青洲が行なった診療の様子が、等身大の人形を使って再現されています。その他ビデオなども上映されており、青洲先生の偉業を偲ぶことができます

 青洲先生は全身麻酔にあたり、麻酔の前に前三診、後に後三診を行ないました。これは現在の術前・術後回診評価にあたります。また、麻酔は十分なトレーニングを受けていないものがむやみに用いると危険であるため、熟練した門下生にのみその使用を許すなど、今に通じる優れた考えを持たれていました
 遠方からも訪れた数多くの患者を収容した病室

 残念ながら春林軒の内部は撮影禁止でしたので、詳しい様子は青洲の里ホームページをご覧下さい
 華岡家発祥の地という立派な碑文が建っていました
 春林軒から青洲先生のお墓への道すがら、地元のお母さんが「どこから来なさった?」と声をかけて下さいました。「静岡からです」と答えるととても喜んでくださり、今採ってきたばかりの桃を下さいました。みずみずしくてとても美味しかったですよ
 春林軒から少し離れた所にある、青洲先生が動物の解剖台にした石

 青洲先生は通仙散開発において周到な動物実験を行ないました。この事は現代では当たり前となった実験医学のはしりとも言われています

 青洲先生は実験に犬を用いたため近在には野良犬が全くいなくなってしまったという言い伝えもあるほどです
 春林軒近くにある華岡青洲顕彰記念公園

 敷地はメスの形をしているそうです
 華岡青洲顕彰記念公園の隣には華岡家の墓所があります

 ひときわ立派なお墓が青洲先生のお墓です
 青洲先生の妻加恵さんのお墓

 青洲先生に付き添うような所にひっそりと立っていました
 一通り見学した後は青洲の里にあるフラワーヒルミュージアムへ

 ミュージアム内の”レストラン華”にてその名も”加恵さん弁当”をいただきました。一見女性向けのメニューに見えますが、品数も多く、ボリュームもお味も満足です

 フラワーヒルミュージアム内には展示室があり、青洲先生の手術道具や書などを見学できます。現在の麻酔器や松木先生が寄贈されたオンブレダンの麻酔器なども展示されていました
 青洲先生が私財をなげうって公共事業を行っていた事は、青洲の里に来て初めて知りました

 ここ垣内池も、先生が旱魃と重税に苦しむ農民を救済するために作らせた池です。農民は工事の賃金で納税し、工事の結果できた池は水を蓄え、豊かな実りをもたらしたのです
 垣内池のほとりにマンダラゲが蕾をつけていました。咲いている所が見れなくてちょっと残念です
 名手駅への帰り、加恵さんの実家である名手本陣を訪ねました。現在修復中で、もう少したつと整備されるとの事でした

 青洲の里を見学した後に高野山へ行き宿坊に泊まってきました。歴史あふれる紀州は見所満点です



参考文献:華岡青洲先生 その業績とひととなり:上山英明著:財団法人青洲の里発行