2004.5/17 シミュレーターによる研修医の判断能力評価始まる

 航空機のパイロットが実際の飛行機を運転する前に、模擬訓練装置(シミュレーター)で何度も訓練してから実際の運転を行うといった話は有名ですが、麻酔にもそういった訓練を行うためのシミュレーターが存在します

 実際の医療を行うには十分な知識とそれに裏付けられた確かな技術が必要です。しかしながら、いまだに薬物などの知識不足による研修医の医療過誤事件がいまだ後を絶ちません。シミュレーターは手技の練習のみならず、患者さんの急変など、さまざまな状況を人為的に作り出し、それに対処する能力などを身に着ける練習をする事ができます

 浜松医大麻酔科では全国に先駆けて麻酔シミュレーターを導入しており、これまでは主に学生教育などに活用してきました
 この春から、研修医の臨床研修が義務化されました。当科でも効果的な研修と医療安全のために、シミュレーターによる研修医の判断能力評価を開始しました

 研修開始より一週間、研修医達は挿管人形を使った練習や麻酔の見学を通して、知識の習得を行ってきました

 この日はシミュレーターを用いた試験を行いました。シミュレーターに麻酔をかけ、麻酔薬や麻酔手技への理解度をテストします
 シミュレータはー等身大で、機械によって呼吸し、血圧や脈拍といったシミュレーターのバイタルサインは頭側にある麻酔器のモニターに表示されます

 麻酔器や麻酔をかけるための道具は本物が用いられます
 シミュレーターに薬を投与すると、実際の患者さんと同様のバイタルサイン変化がおこります
 シミュレーターの足側にあるコントロールユニットでは、麻酔中に起こるさまざまなイベントを人為的に起こすことができます
 いよいよ試験開始(医師国家試験より緊張したという研修医もいました)

 まず、麻酔に用いる機械の点検を行います
 麻酔に用いる薬剤の準備を行いますが、その時使用する薬剤の作用や使用量がちゃんと理解できているか、厳しい口頭試問があります
 いよいよ麻酔開始

 シミュレーターを酸素化します

 その後麻酔薬の投与を行うと自動的に血圧が下がったり、呼吸が停止したりします
 呼吸停止に対するマスク換気後、いよいよ挿管です 
 研修医の一挙一投足はチェックリストにより厳しく評価されます
 その後、急に血圧が低下しました。研修医は急いで血圧を上昇させる薬を投与しました。実はこれは、スタッフがコントロールユニットを操作し血圧低下のイベントを起こしたのです

 実際の麻酔ではさまざまなイベントが起こります。そういった事が起こった時にすばやく正確に対処できる判断力が備わっているかなどを試験できる利点があります
 初日のこの日は5人の研修医がこの試験に挑みましたが、皆勉強の甲斐あって晴れて合格し、翌日から上級医の指導のもとプライマリケアー習得の研修にいそしんでいます



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